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関口の家 (関口T邸) / 東京都
「小さな堰(せき)」を連ね、
人の動きや視線の分岐を重ねる
敷地は都心の住宅地の一角、関口という場所にある。神田川から坂道を上った高台の縁に位置し、敷地内にも緩やかな高低差があった。この地形を生かし、内部に小さな床段差として取り込み、関口の由来となる「堰」として再解釈した。
堰がもつ役割として、流れをふた手に分ける効果に着目した。露地より始まり、玄関と中庭、ピアノ室と坪庭、食堂と中庭と、小さな段差の上り下りが空間や視線を分岐する連続的な体験を生む。視線は内部だけでなく露地や中庭、坪庭、そして隣家の庭、隣棟間の残余へと街へ広がる。食堂と階段室、居間と台所など、堰は選択性をもち領域を繋げていく。
同時に、ピアノ室を囲む閉じた箱と生活の場を挟む開放的な2枚の独立壁は鉄筋コンクリート躯体とし、それらを基壇に軽い木架構を掛け渡した。躯体の上に木梁や根太を掛け、柱を立てるというひとつひとつの過程をそのまま現し、上下階が連なる地形を生み出した。堰が紡ぐ繋がりの中で、コンクリートと木が互いに嵌合し、混ざり合いながら徐々に構成要素が移り変わる。軽やかに組まれた木と、針葉樹合板型枠によるコンクリートとの諧調ある対比が、堰の律に折り重なり空間の拍子を生み変容させていく。
空間と視線、構造となる2つの素材のあり方がそれぞれの堰をきっかけに変化し、リズミカルに日常の体験を彩ることを目指した。場所のもつ小さな特性を拡張し、大地と地続きに暮らし、地歴を引き受ける住宅となればと考えた。
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写真 / 稲継泰介
構造設計:坂田涼太郎構造設計事務所
テキスタイルデザイン(障子布)
:押鐘まどか
ー掲載誌ー
・新建築住宅特集 2024年11月号
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